ハナちゃん物語

DOG&CAT STORYハナちゃん物語(前編)

舞鶴公園に捨てられていた
ミックスの犬

福岡市内の大濠公園に隣接した舞鶴公園に、ミックスの犬が捨てられているとの連絡がありました。この公園に現れて1か月くらいになるらしいのです。その間、通報で動物管理センターの皆さんも数回捕獲に来たが、頭のいい犬で捕まることがなかったようです。私たちも行ってみましたが、とても用心深い犬で近寄ってくることはありませんでした。この犬のことを知っている人に話を聞くと、何度も制服を着た人たちに追いかけられているので怖がって用心深くなっていると言います。そんなに怖がっているなら保護してあげたいと思いました。

そこで作戦を立てることにしました。毎日ご飯とおやつを持って会いに行く作戦です。この犬が懐いている人(男性)がいるとのことだったので、名前と連絡先を書いた名札を首輪に付けてもらうように頼みました。作戦は成功で、名札がついていたので「お宅の犬が一匹で公園にいる」と夜に連絡をいただきました。約1か月くらいかかりましたが、無事に保護することができました。

保護してみると可愛くて気が強いけれど優しいメス犬でした。事前にノミ・ダニ駆除は行っていたので、病院へ行って残りの血液検査やフィラリアの検査、ワクチン接種を終え、先住犬のいる自宅に連れて帰りました。この犬は避妊手術を終えていましたが、まだ抜糸をすませていませんでした。手術後すぐに捨てられたのです。何らかの事情があったのだとは思いますが、悲しい気持ちになりました。

生後半年で突然脊髄の腫瘍を発症したハナ

ハナケンネルでキリヌキ

名前をハナとつけました。時間が経つとだんだんスタッフとも仲良くなってきました。その矢先の出来事でした。家に帰ると、ハナちゃんが震えているのです。クーラーをつけたままなので寒かったのかな?と、のんきにかまえていたら夜中に震えだしたのです。見るからに痛そうなのです。どうしたらいいのかわからず、急いで夜間動物病院へ行きました。原因はわからないままでした。

翌日、朝一番にかかりつけの動物病院へ行きました。レントゲン、エコー検査、血液検査などできる限りのことをして、癌などの検査もしてもらいましたが原因はわかりませんでした。病状は、日に日に進行しているようでした。翌日には立てなくなり、夜中に痛さで這いずり回るようになったのです。動物病院では、「できる限りの検査はしたので、後はCT検査とMRI検査で調べるしかない。山口大学の動物医療センターへ行きますか?」と言われました。すぐに翌日の予約を入れてもらいました。

山口大学での検査の結果、とても珍しい脊髄に腫瘍ができているという診断でした。まだ1歳未満の犬なので進行がとても速く、足も立たなくなりかなりの激痛があるだろうという診断です。一刻も早く手術したほうがいいとのことで、その週の手術予定の最後に入れてもらいました。

手術後は放射線治療をする

放射線治療をするハナ

手術の日はハナちゃんを置いて帰ってきました。その日最後の手術で、何時に終わるか分からないので終了後、病院から連絡が入る予定でした。今までの症例は少ないものの、半年前にも同じ病気で手術をした経験があると言われていたので、安心していました。本当に運がよく早くわかって、手術も経験のある先生の担当で良かったと思いました。

手術が終わったと連絡があったのは夜遅くでした。手術は上手くいきましたとのことでした。本当にホッとしました。助かったと!
面会に行きたいけれど、術後早くに移動させるのは体に良くないだろうと、1週間待ってから会いに行きました。ハナちゃんは寝たままでしたが、元気でとても喜んでくれました。

放射線治療が術後10回あるので数か月入院が必要だと言われました。癌細胞を根絶させないといけないので可哀想でしたが頑張ってもらうしかないと思いました。術後の放射線治療も良好で、回復状態から5回で終わって良いと判断していただいて(癌の放射線治療は体へのダメージも強いため)退院が早くなりました。

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